重力の影響を軽減することで等時性を大きく向上させるこの機構は、1901年、パリの顧客から注文を受けて製作しました。以来長年にわたり、メゾンの時計師は多軸構造をはじめとする新技術を生み出し、トゥールビヨンの技術革新を推し進めてきました。球体ヒゲゼンマイを備えた2軸トゥールビヨン搭載の腕時計「レ・キャビノティエ・アーミラリ・トゥールビヨン」と、3軸トゥールビヨン調速機を備えた「レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーション」は、その専門性を物語るにふさわしいタイムピースです。
トゥールビヨン調速装置を備えるムーブメントにクロノグラフとミニット・リピーターを組み合わせた例は、一部の優れた懐中時計に見られるものの、腕時計では今なお稀です。ヴァシュロン・コンスタンタンは、270年にわたりメゾンを象徴する複雑機能を搭載した時計の伝統に則り、新たなタイムピースを製作する機会と捉えました。高級時計製造の最も象徴的な3つの複雑機構であるクロノグラフ、ミニット・リピーター、トゥールビヨンは、製作の難易度が極めて高く、ましてやそれらを組み合わせることは至難の技です。メゾンはこの課題に挑み、2022年には、稀有で独創的な組み合わせを単一のメカニズムで実現するキャリバー2757を、「レ・キャビノティエ」からユニークピースとして発表しました。
「レ・キャビノティエ・テンポリス・デュオ・グランドコンプリケーション・オープンフェイス」を手掛けた時計師は、等時性をさらに向上させるため球体ヒゲゼンマイを採用した新たなムーブメントを開発し、これにより、オープンワークのダイヤルからムーブメントの美しさと複雑性を堪能できる、唯一無二のタイムピースを完成させました
キャリバー2757 Sは696個の部品で構成され、特にクロノグラフ機能に関してはパフォーマンスを重視して設計されました。その複雑さにも関わらず、時計師はメゾンの哲学であるエレガンスに忠実に、厚さわずか10.4mm、直径33.3mmという精緻なムーブメントを完成させました。
自社製のキャリバー2757は、スプリットセコンド・クロノグラフのために追加したプレートにおいて、動作の効率性を高めるよう部品の配置を綿密に計算して設計しています。この最適化により実現したムーブメントの薄型化は、新素材の採用によってさらに完成度を高めています。輪列の一部の歯車は、チタンで製造されたり、ニッケル-リンで電鋳されています。また、秒針のブレを防ぐため歯車の噛み合わせを改良したヴァシュロン・コンスタンタン独自の歯形設計を採用しています。
研究を重ねた結果、
ブライトリング時計コピークロノグラフ秒針には剛性を備え、極めて軽量なアルミニウムが使用されています。また、注油を必要としない超軽量素材のシリコンを、スプリットセコンドのレバーとアイソレーターに用いています。部品の軽量化と摩擦の低減により、香箱が放出するエネルギーの損失を抑え、クロノグラフ作動時でも約50時間というパワーリザーブを確保し、パワーリザーブ表示は裏蓋に配置しています。
ムーブメントは毎時1万8000回で振動し、1/5秒単位の精度の計時を可能にします。中央の2本の秒針が経過時間をダイヤル外周のミニッツトラック上に示し、2時位置には30分積算計が配されています。極めて高度な精度が求められる機能であることから、メゾンの時計師はクロノグラフ用とスプリットセコンド用として、2つのコラムホイールを備えた構造を選択しました。
クロノグラフの基本操作(スタート/ストップ/リセット)は、2時位置のモノプッシャーで、そしてスプリットセコンドの操作(ストップ/リセット)は4時位置のプッシュボタンで行います。後者を押すと、一方の針は動き続けたまま、スプリットセコンド針が中間タイムで停止します。もう一度ボタンを押すと、スプリットセコンド針が動いている針に瞬時に追いつき、2本の針が重なって動き続けます。
キャリバー2757 Sのミニット・リピーターにも、ヴァシュロン・コンスタンタンの技術革新が活かされています。そのひとつが画期的なフライング・ストライク・ガバナー(調速機)です。この装置は、ガバナーの回転軸でブレーキの役割を果たすよう形作られた2つのウェイトを備え、リピーターのゼンマイが発するエネルギーの流れを平滑化します。ここでは、遠心力と求心力という相反する力を利用し、ガバナーが回転すると、遠心力によってウェイトの片端が外側に向かって回転するため、もう一方の端が回転軸にブレーキをかけます。これにより、回転と打鐘のリズムが一定に保たれます。
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